2017/09/30

再録08 LR10 その8:兄弟作品「グリーン・ホーネット」

 「ローン・レンジャー」の作者ジョージ・W・トレンデルとフランク・ストライカーは、ローン・レンジャーの助手として後半ダン・リードというジョンの甥っ子を登場させた。

 そのダンが後に20世紀になって新聞社を起こし、その息子ブレッド・リードが警察では対抗できない犯罪者と対決するヒーローとなったのが「グリーン・ホーネット」だった。時代を越えて、現代のローン・レンジャーの活躍が描かれた。

 「グリーン・ホーネット」は1967〜8年、TV化されたが、グリーン・ホーネットの愛車ブラック・ビューティーの運転手のカンフーの達人加藤を演じたのが若き日のブルース・リーだった。静かに笑うブルース・リーの加藤は、トントの流れを組むキャラクターだった。 

 二つのヒーローが時代を越えて交流するアイデアは、この作品が最初期の物であった。作者のアイデアマンの部分がよく判ると思う。
「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

2017/09/29

再録07 LR10 その7:ヒット作はラジオからTVへ

 アメリカのTV初期のヒット作は「ローン・レンジャー」や「スーパーマン」、「ドラグネット」とラジオの人気番組がスライドしていった。「ローン・レンジャー」のラジオは、1933年1月、デトロイトの小さなラジオ局で始まり、すぐにアメリカ全土で放送されるようになっていく。

 オープニング・ナレーションで「光のようなスピードで走る炎のような馬、砂塵を巻き上げる熱血の男、ローン・レンジャー! ハイヨーッ、シルバー」と叫ぶ名調子で、名馬シルバーは、ローン・レンジャーの代名詞となった。

 トントの”魂の友”という意味の「キモサベ」という言葉は、ラジオの監督ジェームズ・ジュエルが作った言葉で、インディアンの言葉を知らなかったジュエルは、ミシガンの子供達が遊ぶキャンプ場の「Kee Mo Sah Bee」を大自然の象徴として「キモサベ」と造語した。

 ラジオなら馬はいななきと効果音でごまかせるが、映像となるとそうはいかない。リパブリック映画で、1938年「ローン・レンジャー」は15話で完結する連続活劇映画として登場し、映画ではいろいろな馬がシルバーを演じた。TV版ではトラベラーという名の馬が演じてローン・レンジャー役のクレイトン・ムーアは、トラベラーが耳の所だけ黒い肌がある白馬でなかったが、ひと目でトラベラーを相棒に選んだ。

 トラベラーのトレーナーのホワイティ・ヒューグスは、「トラベラーはグリフィス公園で3、4マイル走っても平然としていて、どんなスタントもこなし、そしてカメラの前でも落ち着いて演技をこなしていた」と語る。TV番組の宣伝キャンペーンでも、トラベラーはローン・レンジャー役のクレイトン・ムーアとアメリカ全土を回り、子供たちがその鼻を触っても少しも騒がず、シルバーの勇姿を子供たちに見せてくれた。TV西部劇最大の有名な馬であることは間違いないキャラクターであった。

 「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

2017/09/27

再録06 LR10 その6:マスク・ヒーローの源流

 「ローン・レンジャー」は1933年ラジオ・ドラマとしてスタートした。翌1934年には全国的ヒットに成長。TVでも印象的なオープニング曲の「ウィリアム・テル序曲」と力強いナレーションもラジオのオープニングで完成したフォーマットで、TVドラマはそれを映像で完全再現したものだ。ラジオ・ドラマも1958年まで続いた。いかに人気があったかわかるだろう。

 すぐコミック化と連続活劇映画としてジョージ・ルーカスやスピルバークが大ファンだったリパブリック映画でシリーズ映画化され、1930年代後半から1940年代子供達を夢中にさせた。

 同時代、「ディック・トレーシー」や「スーパーマン」のラジオ&コミック&連続活劇映画のヒーローが次々に生まれたが、「怪傑ゾロ」と共に「ローン・レンジャー」がアメリカのマスク・ヒーローの原点となった。 「バットマン」も両親をギャングに殺され、凶悪な犯罪と戦う決意を固め、バットマンが誕生する。ロビンが現れるのも「ローン・レンジャー」の影響だった。

  1949年9月15日、TV化された「ローン・レンジャー」は、TV界でもっとも早く子供達を魅了したTVヒーローだった。1957年まで8年ものロング・ランとなった。

 ラジオから生まれて、映画化、TV化された時、主題歌をそのまま使うのは日本の「少年探偵団」や「赤胴鈴之助」も同じで、「ローン・レンジャー」はその先駆だった。「おのれ、ちょこざいな小僧め。名を名乗れ!」「赤胴鈴之助だ!」と映画でも有名な導入部もラジオ・ドラマだからのセリフだった。

「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

2017/09/26

再録05 LR10 その5:愛馬シルバーの名シーン

 ローン・レンジャーの愛馬シルバーは全身真白の白馬で、どんな悪路や山道でも快走していく名馬だった。元々は大西部の原野と緑美しい谷間を駆ける野生馬のプリンスで、何十頭もの仲間を引きつれて人間とは無縁だった。ところが谷間の水場を一人じめにする荒くれのバッファローと対決して、その角を腹に受けてシルバーは倒れ伏してしまう。

 その命が消えかけた時、リハビリで馬を走らせていたローン・レンジャーとトントが彼を見つけた。二人は治療をしてやり、何日も野宿して様子を見た。二人は馬好きだったし、若い馬の苦しみを見過ごせなかったのだ。シルバーが気がついた時、ローン・レンジャーのやさしい瞳が彼に笑いかけていた。

 シルバーはローン・レンジャーの友人となった。彼が大好きになったのだ。全身真白の姿からローン・レンジャーはシルバーと名づけた。力強く走るそのスピードは、どの馬にも負けない。ローン・レンジャーとトントしか、シルバーは乗せようとしない。

 西部劇ヒーロー数あれど、シルバーのような愛馬がセットになっているのはローン・レンジャーだけだ。アメリカではシルバーに乗ったローン・レンジャーの人形オモチャが大ヒット。「ハイヨーッ、シルバー!」と両前足を上げていななくシルバーの名シーンはこの作品の代名詞だ。トントの愛馬はスカウト(偵察)という。

「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

2017/09/25

再録04 LR10 その4:相棒トントとの友情

 ローン・レンジャーを助けるインディアンのトント。いつも静かに笑うトントは頼りになる相棒だが、彼が少年時代、凶悪なインディアンに襲撃され、村は全滅、両親も死んでしまった。傷ついた彼を助けたのが若き日の冒険家ジョン・リードだった。彼は親切にトントの傷を治し、彼を世話してくれた。

  ただひとり、谷間で暮らしていたトントは瀕死のジョンを発見して、献身的に看病した。そして悪と戦う決意を聞かされ、自分も共に協力したいと語りかけた。トントはローン・レンジャーのことを「キモサベ!」と呼ぶ。インディアンの言葉で、「誠実なる友、魂の友人」という意味だ。インディアンだからといって、決して差別しないローン・レンジャー。深い信頼と友情で二人は結ばれている。こんなヒーロは初めてだった。

  アメリカ、日本ともオモチャの銃を手に、ローン・レンジャーごっこでは必ず「キモサベ」とつぶやくトント役の少年もいた。トントは少年達にも多くのファンを持つ名脇役だった。

 「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

2017/09/23

再録03 LR10 その3:潜入捜査の達人

 ローン・レンジャーは悪人を追撃する時、その黒マスクを利用して、悪人の一味に潜入していく。その時、何種類もの声を使いわけて、まるで無法者のようにふるまうのだ。ローン・レンジャーは挌闘の名手で、どんな乱暴者の犯罪者も殴り倒してしまう。その早射ちの技は、どんなギャングでも舌をまいてしまう。トントも悪人になりすまして、情報を探り出す名人で凶悪なインディアン ”赤い犬” という異名も使っている。黒マスクのヒーローだからできる捜査テクニックだ。

「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

再録02 LR10 その2:2丁拳銃とその弾丸

 ローン・レンジャーの両方のホルスターには銀でメッキされた愛用の拳銃が納められている。グリップは象牙で作られ、正確無比な連発銃だ。ホルスターには48発の弾丸が並ぶが、それは全て銀で作られた特別製の弾丸だ。ジョンが兄ダンと共に受けついだ秘密の銀山で掘られた銀から精製した弾丸だ。早射ちの名手ローン・レンジャーは相手の銃や腕を射って、決して殺人はしない。犯罪を憎みながら、人殺しを許さない、その無敵のガンマンぶりが子供達を夢中にさせたのだ。銀の弾丸は彼の代名詞で、保安官や騎兵隊にはそれを見せると「君がローン・レンジャーか!」と驚く名シーンが何度もあった。ちなみに相棒のインディアンのトントは、左側のホルスターに銃、右側にナイフをつけ、ナイフ投げの名手だった。二人の得意技が違うのも名アイデアだった。

「ローン・レンジャー」10の秘密  ビデオのインナー解説・再録

2017/09/22

再録01 「ローン・レンジャー」10の秘密 その1:黒マスクの秘密

「ローン・レンジャー」10の秘密は角川書店が出したビデオのインナー解説用に執筆され、うち7つだけが収録されたものです。「再録 LR10」として1つずつアップし、さらに通し番号で他の昔の原稿も公開していく予定です。
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 「ローン・レンジャー」はアメリカTV史上に輝くヒーローのひとりだが、その人気を支えたアイデアが光るいくつかの秘密があった。10の秘密と題してこのTV界伝説のヒーローの魅力を紹介してみよう。

その1:黒マスクの秘密

 いつも黒マスクに素顔を隠す正義のヒーロー、黒いマスクは悪人と言うイメージなのにこの黒マスクのヒーローというミステリアスさは子供達を魅了した。ローン・レンジャーの本名はジョン・リードという。兄ダン・リードを隊長とする6人のテキサス・レンジャーの最も若いメンバーで、凶悪な盗賊団ブッチ・キャベンディッシュ一味を追撃中、谷間でレンジャー隊は全滅。ただひとり重傷で生き残ったジョンは、親切なインディアンのトントに発見され、彼の洞窟で看病されて回復した。ジョンは凶悪な犯罪と対抗するために、素顔を隠し、ローン・レンジャーとなって悪と戦う決意を固めた。彼は谷間に5人の仲間とともに自分の墓も作った。悪を追い詰めるローン・レンジャーの誕生だった。その決意を忘れぬために、黒いマスクは亡き兄ダンの黒いベストを加工して作り上げた。頼りになる相棒トントを連れて、ローン・レンジャーの戦いが始まった。

2017/09/10

第96回 笑えるカーチェイス!「爆発デューク」

 アメリカのミシシッピーの東、オハイオ州の南にある田舎町に暮らす若者ルーク・デューク(トム・ウォパット)とボー・デューク(ジョン・シュナイダー)の相棒コンビが、パワーチャージャーを取り付けて改造した愛車で走り回って、追いかけるロボ保安官(ジェイムズ・ベスト)と部下が乗るパトカーたちが、車ごと毎回宙を飛んで、川に落ちていって、納屋へと突っ込んでいって、爆笑シーンとなるカーチェイス・コメディ、それが「爆発デューク」だ。

 映画に「キャノン・ボール」シリーズがあれば、TVシリーズに「爆発デューク」ありといわれた80年代を代表するカーチェイス・コメディだった。この作品で、走っていたスタント・レーサーが後にカースタント演出したのが「ナイトライダー」だったからおもしろい。

 軽快なバンジョーがひびく陽気な主題歌は、カントリー歌手のウェイロン・ジェィニングスが作詞して歌い、1980年ヒットチャートへ上がる売れ行きのヒット曲になった。ミニカー、ゲーム、Tシャツとアメリカでの関連商品は数知れずある。

 CBSでは1979年〜86年ヒットを続け、日本ではフジテレビ系で放送された。知る人ぞ知るカー・マニアのファンが多く「エレメンタリー」のホームズ役やアニメ「薄桜鬼」の土方歳三役の声優・三木真一郎は最愛の海外ドラマシリーズと語る。再放送してほしい作品である。

2017/09/09

このブログについて(管理人より)

 このブログではタイトルに添えてあるとおり「外国ドラマや特撮の研究家・池田憲章さんによる外国ドラマについての記事を紹介」します。

 最初の95回のメモランダムは、諸般の事情により資料無しの状態で、一日3編くらいずつ書きためておられた記事です。これを紹介するために、このブログを立ち上げました。

 SF大会での無料配付を受け取れなかった方もおられたので、急いでいた95回分の記事と往復書簡の公開が完了しました。これからは新たに届く池田さんから記事(月2回くらいということです)や、昔の掲載記事などをアップしていく予定です。

(以上は、9月4日のTVF00と重複する部分もありますが「このブログについて」というタイトルを考慮して修正しました  9/13)

コメントについて(9月20日改訂)

 作業を急いでいたために制限していたコメント欄の制限を解除しました。ご感想・ご意見をお寄せ下さい。

 池田さんが、今年の<TVファンタスティック>会場で呼びかけておられた、そしてTVF11 池田→松岡(2017年7月29日)にもある

「アメリカ本の翻訳じゃない、アメリカ人の評価をなぞらない “僕らの『新スタートレック』論 ”」

の投稿を期待しておられます。コメント欄では足りない場合は、

管理人へのメール :19daime (@マーク) gmail.com
または
池田さん:kenshotokusatsu(@マーク) ezweb.ne.jp 
へお送り下さい。
 このブログへの掲載は筆者のご希望に添います。


リンクについて

 姉妹ブログ「池田憲章の怪獣メモランダム」とリンクしました。

 管理人は別の方ですが、池田さんのプロフィールや「はじめに」の記事解説は共通と言える内容で、現在、「ウルトラQ」編が展開されています。是非、ご覧下さい。



 今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

TVF13 TVファンタスティック2017概略

 ブログ管理人です。池田さん・松岡さんより<TVファンタスティック>のレポートをブログに載せよう、という Mission Impossibe (?!)を仰せつかりました。足りない資料をコピーしにいってたり(1枚ものだけですが)して、枠組みだけのレポートです。ご参加のみなさま、是非、補足コメントをお願いします。メール(19daime@マークgmail.com)で頂いたら、別途記事を立てます。

 なお、日本SF大会プログラムでは「テキストのみ公開可」となっておりますが、主催者お二人の承諾を得て、参加者がわからない後ろからの写真を1枚、公開します。

客席は開始時で半分以上が埋まり、中頃に数えた時の参加者は50人強。

1.新作映像資料紹介

・Netflixオリジナルシリーズ「スター・トレック:ディスカバリー」
・FOX「The Orville」 
・「スペース1999/完結編 第49話」
・「スペース2099」
など。「スペース2099」には「フェイクじゃないの?」と会場から疑問の声が上がりましたが、一応、公式らしいとのこと。


2.2000年から2015年のベスト15

のはずなんですが、実相時昭雄「曼荼羅」のカメラワークのお話しとか、何故か「刑事犬カール」とか…。 海外SFTVドラマ研究企画のはずなのに日本の方へ。年前のSF大会(米魂)では「日本特撮を語る」企画をしたんですけど、逆にジェリー・アンダーソンとかアーウィン・アレンとか、話題は海外へ。映像文化は東西を切り離しては語れないということなのでしょう。松岡さんのお話によると「3,4時間あればちゃんと元にもどって、きれいにまとまる」のだそうです。


3.「何故、ホラーが流行るのか?」

 予定にはなかったのですが、ホラー研究家・聖咲奇さんが参加されましたので、「何故、ホラーが流行るのか?」について三人で考察。テレビ予算内でできる、というのが結構、大きいことのようでした。元祖のロメロは宗教がらみ(ブードー起源)という濃いお話しが展開され始めたのですが、残念ながら時間切れ。


 


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第58回日本SF大会ドンブラコンLL・自主企画<TVファンタスティック>大会サイトからの資料
2017年8月 27日 9:30-11:00,
東静岡・グランシップ・映像ホール 床面積 120m²
シアター形式94席(ライティングテーブル付)、車椅子席5席
スクリーン リア投影用透過タイプ
ハイビジョン150インチ、4:3画面100インチ
http://www.granship.or.jp/promoters/guide/audio.html

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配付資料・参考文献
「池田憲章・松岡秀治による海外ドラマ往復書簡:2000年から2015年のベスト15を選んで考える」10ページ
「池田憲章の外国TVメモランダム」19ページ
「2018年製作中、および放映予定のSFTV」1ページ
「BJ PRESS 21」
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TVF12 松岡→池田(2017年8月13日):往復書簡最終回

 お手紙を読んでなにか“偉く見せたい自分”を看破されたようで、とても恥ずかしくなりました。なにか、地元のスターベース神戸の例会で海外ドラマのディープな知識を披露して悦に入っている場面を見透かされた気がして冷や汗物です。

 ただ、一つ弁解させてほしいのですが、実は僕がとても大好きなTVのことを書いたエッセイがありまして、それがSFマガジンに掲載された『ベトナム戦争時のスタートレック』なのです。なにしろ20年前の文章なので失礼ながらコピーして送らせていただきますが、僕が子供の頃に見ていてひっかかった(違和感を抱いた作品。『スタートレック/宇宙大作戦』にはそんな話がいくつかあってそれこそがこの作品にのめり込ませた原因だと思っています)エピソードの「カヌーソ・ノナの魔力」と「細菌戦争の果てに」についての細かい考察が述べられています。これを読んで自分が抱いた違和感の正体に気づかされた、あるいは理論的に解説されたように感じて非常に感動したのです。面白い作品を見たときに、「なぜこのエピソードが面白いのか、そして心に残るのかを解読したい」という部分がどうしても否定しきれないのです。

 ただ、それを言ってしまうと「結局シナリオだけじゃないか」となってしまって以前に池田さんに指摘された「松岡君は脚本を重視しすぎる」という弱点を見事に露呈してしまったわけですが。さらに後半で池田さんが指摘された “アメリカ人の評価をなぞらない” というのにもズキっとしてしまいますが、ただ、どうしても海外文献を読む度にそういう評価まで受け取ってしまっている自分がいるわけですが。

 ただ、SF大会というイベントでイベント企画をやるぶんにはこれはこれで一つの方法ではないかなあ、とも思います。例えば僕があげた『アウェイク 引き裂かれた捜査官』なんてストーリーもですが、演技とか設定とかも微妙に良く出来た作品で、SFに分類されるのは間違いないけれども、いわば一種のゲテモノで、ここで言っておかないと誰にも再評価されないのではないか?といった危惧みたいなものも感じます。

 ともあれ、今回ベスト15を選出したことで様々な形で今の自分の視点を見ることもできたので、それはそれでよかったと思っております。大会まであと2週間となりました。準備しておきますので、よろしくお願い申し上げます。

TVF11 池田→松岡(2017年7月29日)

 エド・ビショップがなくなる2,3年前、アメリカで放送しなかった『謎の円盤UFO』の「時間凍結作戦」やドラッグがからんだアン・ハッピーエンドの結末について「『ソプラノズ』が今、普通に放映されていることを考えれば、ちょっと早すぎたのかもしれない」とコメントしていて、『ソプラノズ』を例に『謎の円盤UFO』を語るのかとびっくりしました。エド・ビショップの心の中はイギリス人ですから、やっとアメリカのTV界も1970年代のイギリス並みになったってことかなと微笑されているような気もしてます。

 手紙を読んでいてケーブルTVの新傾向がネットワーク中心のアメリカTV界を変えつつあるという評論に感心している思いが見えて、ひとこと言いたくなってきました。私たちはTVウォッチャー、TVドラマ研究者であってTV評論家ではありません。あくまでも面白いから他人に言われなくても海外ドラマを見続け、気になるから文献や雑誌を集めて、自分が魅かれる作品を作ったスタッフ(プロデューサーや脚本、監督、撮影監督)やキャストの情報を追っているのではありませんか?

 アメリカTV界の傾向や暗いシリアスなドラマがなぜ増えているのか、そんなものを分析するのに何の意味があるのでしょう? 私はHBO(最初に作った作品は『レイ・ブラッドベリ劇場』だったはずです)の『ソプラノズ』から『ウエストワールド』の流れなんてどうでも良いし、(スタッフが違うのですからCBS-TVの作品論を論じるようなものです。意味がない)、例えば『OZ』の頃だって、ネットワークの『NYPDブルー』『ホミサイド』が負けているとは思えません。

 十把ひとからげの作品論、時代論は私たち1本、1本をTVの前に座って手に汗を握って一喜一憂したTVファン&TVウォッチャーにとって論破しなきゃいけない相手だと思うくらいです。私たちTVウォッチャーは一話、一話の中で頑張って戦っている脚本、監督、撮影、美術、俳優、作曲家、録音スタッフの映像に刻印した“人間の仕事”をしっかり感性と言うセンサーでチェックして味わうことで、作品は初めて生きるのです。

 私たちは見巧者になるべきであって、TVを評論してこと足れると思っているようなデータとしてTVドラマを見る人間とは同じ地平に立つべきではないと思っています。面白いから、語りたいから作った人を知りたいから、TVドラマを追い、SFテレビが大スキなのに、SFじゃないTVドラマでも息を呑むような手応え(『ダウントン・アビー』がそうですし、イギリスの渋い刑事物がそうですね。『大草原の小さな家』の)も知っていますし、両方やれるスタッフはいくらでもいるのも両方見て知っています。データを積み上げて、印象批評のような結論で納得ならナンノコッチャなのです。

 例えば9.11以降のアメリカのTVドラマがその意識下にあるという「映画秘宝」チームの言い方にも「本当かよ!?」と私は言いたいのです。そうじゃない、すぐれた “人間を描く” TVドラマを山ほど知ってますし、現代を生きる人間のドラマである以上、要素のひとつでしかないはずです。『ドクター・ハウス』とか、シニカルで皮肉な人間観のドラマは私の好みで、『24』や『CSI』を見ていると『ドクター・ハウス』や『シックス・フィート・アンダー』とか見たくなります。『NCIS』はまだ見ていられるのですが・・・。作品を論じるべきであってその放送した時期の社会を論じるのは本道じゃないんじゃないかな〜。

 聖咲奇さんに言われたことに戻りましょう。

 往復書簡の手紙と互いのベスト15、作品リストを見て「アイデア的にいいのは『フリンジ』ぐらいで、オールタイムベストには1本も入らない感じだな」ですって(笑)。正論で『スタートレック』や『ミステリーゾーン』に比べたらベスト15は成立しない感じです。

 しょせんベスト15というのはイベント企画で作品研究ではないからです。これはSF小説を例に出せば『火星年代記』『華氏451』『破壊された男』『幼年期の終わり』『銀河帝国/ファウンデーション』『地球の長い午後』の名作と、ここ20年の新作SF小説を比べて、ベスト10に入らなくてもしょうがない。SFウォッチャーとしては新作は新作で追えばいいのです。1983年〜2003年のSFテレビリストもやりましょう。マイフェイバリット作品についての往復書簡でもいいですよ。

 実は『新スタートレック』の私が好きなエピソードについての文章を公募して、毎年2シーズンくらいのスピードでSFファンの語る『新スタートレック』以後の4部作全ての作品研究ムーブメンツを作りたいのです。まだ日本版のスタッフ、キャストも元気な人が多く(加藤精三さんが亡くなったのは惜しいですね)、アメリカ本の翻訳じゃない、アメリカ人の評価をなぞらない“僕らの『新スタートレック』論”を書きたくて仕方がないのです。

 それでは、大会まで1ヶ月をきりました。会場でお会いしましょう。

TVF10 松岡→池田(2017年7月20日)

 『コロサス』のくだりはとても面白く拝見しました。あの映画の続きにそんな展開があったとは知りませんでした。そういえば、英米の映像SF作品といえば常にアシモフのいうところの“フランケンシュタイン・コンプレックス”(造物主が作ったものに滅ぼされる恐怖)が根底にあるような気がします。そんな中で確かにフライディやK.I.T.T.は貴重ですねえ。この2台の軽妙さは日本のロボットのイメージに近いのではないかな、と思います。

 日本のロボットって『鉄腕アトム』『ロボット三等兵』『エイトマン』といい、人の心を持っていることが多いですが、やはりアニミズムから流れる精霊・妖怪としての人間の側にいる存在なのでしょうねえ。

 ところで『ウエストワールド』の話題が最後に出てきましたが、実は僕の前回の手紙での最後の “重厚だけれども、シリアスで暗い話” に続くような気がしました。実は最近手に入れた本なのですがタイトルが『DIFFICULT MEN』。サブタイトルが「Behind the Scenes of a Creative Revolution: From The Sopranos and The Wire to Mad Men and Breaking bad」で、90年代後半からのHBO, FX, AMC, SHOW TIME などのケーブル局ドラマの進化について語っているようです。(実はまだ未読なのですが)その中のTIMELINE OF DIFFICULT MENの表をコピーして同封しますが、なるほどと思わせるケーブル作品の流れがうかがわれます。

 HBOを中心とするケーブル局がこれまでまず「犯罪ドラマ」(オズ、シールド)から始まって「歴史物」(ローマやデッドウッド)「ホラー」(トゥルー・ブラッド)「医療ドラマ」(Nip/Tuck)と言った定番をこなしてその末に「ファンタジー」(ゲーム・オブ・スローンズ)を製作し、遂に『ウエストワールド』という流れが納得できます。

 現在のエミー賞をケーブル局製作のドラマが寡占状態になっていることを考えたら、ケーブルが製作するSFドラマということでその流れが変わっていくかもしれないと思います。そういえばその流れに沿って『高い城の男』が製作され、今度は『侍女の物語』が放映されるということなのでますます期待大ですね。

 ただ、SFドラマに関してはやはり『スーパーガール』や『スターゲイト』のような明るい作品もあってほしいですが。

TVF09 池田→松岡(2017年7月12日)

 『パーソンズ・オブ・インタレスト』については、やはり『コロサス/地球爆破作戦』(ジョセフ・サージャント監督)のヴィジュアル・イメージの影響もあるでしょうね。原作小説は3部作で宇宙からの侵略に対してコロサスとガーディアンが協力して人類を守るためにフォーヴィン博士に協力するという展開らしくて(「本当かよ?!」と思いました)ペーパーバックの続編を買って入手したのですが、まだ読んでいません。(2冊目、3冊目は翻訳されませんでした)。

 確か『コロサス』は『ローガンズ・ラン』と同じように一般的なベストセラーでSFファン寄りの作品ではないと読んだ記憶もあるんだけど、『2001年宇宙の旅』のハル9000とか映画の『ゴッグ Gog』(未輸入)とか、映画の無表情で人間を襲うロボットやコンピューターのイメージ(映画『ターミネーター』『ターミネーター2』とかもそうですね)が与えた影響が大きいのかもしれません。

 日本のマンガのロボットイメージ(『鉄腕アトム』『鉄人28号』『エイトマン』他)とアメリカの映画のロボット&コンピューターのイメージを比較して論考すると面白いかも・・・でもそう考えると『宇宙家族ロビンソン』の環境調査ロボット・フライディ、『ナイトライダー』のK.I.T.T.ってユニークな存在で、アーウィン・アレンとグレン・A・ラーソンの作家性に直結していそうで、理屈じゃなくて面白さをまず重視する何かですが、SFテレビの日常性の持つ映画とちがうTV作品の重要な意味もある気がして面白い。

 『パーソンズ・オブ・インタレスト』から一歩踏み込んだ作品がTVシリーズの『ウエストワールド』だとすれば、作品論として論じていく意味はさらに高まっていきます。

 先日ホラー&SF映画研究家の聖咲奇さんと話をしていて、あることにショックを受けたのですが、今回のベスト15にも関わることで、それは次回の手紙に書きます。

2017/09/08

TVF08 松岡→池田(2017年6月21日)

  『ラストシップ』の何が面白いと言って、第一シーズンと第二シーズンで異なったテーマになっているところがすごいと思います。第三シーズンはまた異なったテーマになるようでこれまた大きく期待です。

 実は僕も『スーパーガール』は大好きで、なんと言っても孤高のスーパーマンと異なってチームの中で活躍する様はスーパーヒーローの可能性を感じさせます。

 『4400』は第一シーズンではかなり興奮しましたが、中盤以後になると話が混乱してくるのに少々いらついてしまいました。当初の予定通りに完結したらものすごい傑作として評価されると思うのですが。

 『エンタープライズ』は面白かったのは間違いないのですが、これも実は第一シーズンと第四シーズンが気に入っているのですが、あの “時間冷戦のくだり” と “ヅインディの地球侵略” がどうもいまいちピンとこないのです。プリクエルとして新しい設定を導入するのは後のシーズンに対して齟齬をきたすのではないかと。まあ、これと全く逆の意見の友人もいるので、だからこそのスタートレックかもしれません。

 『スーパーナチュラル』は実は大好きな作品で全部見ています。なんと言っても驚いたのは宿敵の赤い目の悪魔をそうそうに退治してしまい、第四シーズンの時点で堕天使ルシファーによるアルマゲドンという普通の映画やTVシリーズだったら最終決戦になるところをあっさりとやってしまい、その後を手を変え、品を変えて新しい敵や登場人物との関係性を作り出して物語のスケールをどんどん大きくしていくところ。そのくせ、サムとディーンが常に中心にいるところにシナリオの巧さを感じてしまいます。第五シーズンのあたりでサムが「地獄に連れ去られた兄さんを助けようと悪魔を呼び出したら、悪魔が僕を見て逃げてしまった」というくだりには笑ってしまいましたし、強大な敵がシーズンが変わったらそれ以上に強大な敵が出たために、しぶしぶライバルではあるけれども、サムとディーンに協力してしまうところなどまるで少年ジャンプのマンガのようです。

 『パーソンズ・オブ・インタレスト』も考えたらすごい話だったなあ、と改めて感動してしまいます。最初の方は一見変わった犯罪捜査ものだったのが、途中からマシンとライバルによるAI同士の戦いになったところは実に見事なSFだと思います。最終話には感動してしまいました。

 ところで、これでふと思い出したのですが、映画『ターミネーター』シリーズって実は僕としては3作目以後が腑に落ちないのです。なぜかというと、この物語ではスカイネットが誕生した瞬間に人類はコンピューターによって絶滅させられる、という大きな前提がシリーズを通して決まっていますが、タイムトラベルをした人間たちは反乱軍の指導者ジョンを救うと同時に、スカイネットを破壊するのに腐心しますが、誰もスカイネットの考えを変えることには思いがよらない。

 『大鉄人17』において人類を壊滅させようとするコンピューターのブレインに対して防衛軍の佐倉博士はブレインの次世代コンピューターで人類を味方するようにしたビッグエンジェルを作って対抗しようとするし。もっと遡れば手塚治虫の『ノーマン』では敵のコンピューターに捕まった主人公が“お母さんの愛情”を情報としてダウンロードしてラストで窮地を脱するシーンにいたく感動してしまいました。

 そのため「アメリカ人ってコンピューターは人間を滅ぼすものだと思っているのかな、これがアシモフのいうところのフランケンシュタインコンプレックスかな」などと少々鼻白んでいました。だから、『パーソンズ・オブ・インタレスト』であくまでも人類に味方しようとするマシンには「ああ、アメリカ人もやっと友達コンピューターに気がついたのか」と感慨深かったものです。

 話が変な方向にいってしまいましたが、なにかこう、ここ数年のアメリカTVSFってどんどんシリアスで暗い話が多くなってきているような気がします。重厚な話が多くなるのはいいのですが、救いのない話が多くなるとどうもやりきれません。次の手紙ではそのあたりをちょっと検証してみます。

TVF07 池田→松岡(2017年6月6日)

 9位の『ザ・ラストシップ』は、死病のパンデミック物だと思わせる出だしから、ミリタリー物の変形としてアメリカの国家再建物に味わいに変わっていって、最新鋭の軍事知識もみるみるバトル・シーンに生かされる切れ味がよくて終末物のゾンビ物に飽きてきた中でシーズンが進む度に善戦している作り手に感心して。

 10位の『スーパーガール』は『ヤング・スーパーマン』にほとんど興味を持てない反作用で、ほとんど設定の無いフォーマット、人物を組み直し、よくこのキャストと物語世界、戦う対立軸を作ったなと感心したため。同傾向の『アロー』、『フラッシュ』より『スーパーガール』が好みなのは主人公の良さ(まず暗くならないのが good!)、主役の彼女です。シリアスぶったスーパーマンには興味が持てないのです。なんか映画『スーパーマン』シリーズの劣化したコピーの延長のように見えてしまうのです。

 11位『4400』は映像の美しさ、クールな透明感のヴィジュアル、第一シーズンの鮮やかさ。映像がスタイルを持っていて、アイデアもいいんですが、ムードがある。第二シーズンまでドキドキして見ていました。その映像に見惚れることが見る気になるのです。

 12位の『スタートレック/エンタープライズ』は前夜ストーリーで成功させるのは至難の技なのに、やはりスコット・バクラを中心にレギュラー陣の演技力と近未来の宇宙軍団と苦闘して突破していくエンジニアの話は面白い(どこかロバート・A・ハインラインやA・C・クラークの香りを感じる私は変でしょうか?)。ストーリーも“よく考えたな、この話”というのが何回かあって、宇宙SFってまだやり方次第と思いました。

 13位の『スーパーナチュラル』。やはりこういう怪奇ハンターのバディ物は、TVホラーにいつまでも続いて欲しい。まるでアメリカ版『ゲゲゲの鬼太郎』。『デッドゾーン』も好みです。

 14位『エージェント・オブ・シールド』。マスクマン以外のスパイ組織の大人物の戦隊物の大きな可能性を感じます。私は『Xメン』や『アヴンジャーズ』の映画版よりも楽しんで見ています。主人公を5人集めるというコンセプトが本流じゃないー『秘密戦隊ゴレンジャー』のスタッフ総打ち合わせの時、吉川進プロデューサーが「『仮面ライダー』を5人集めたドラマじゃダメなんだ!」と力説した。5人が力を合わせた時、10倍のパワーになるというのは至言だと思うのです。日本もアメリカも40人や20人以上ヒーローを集めてどうするのでしょう。作っている現場スタッフの苦労を上層部の企画、プロデューサーが何も考えていない。未来はそこにはないのです。

 15位の『パーソンズ・オブ・インタレスト』はあれだけのアイデア、設定の世界を作っておいて、人間の善意を勝たせたいというスタッフの気迫が好きなのです。

 次点の『ウエストワールド』は、映像と演出、演技、日本語版のキャストの名演、すべてがレベルが違う。この第一シーズンに続きがあるのがオドロキですが、第一話、最終回二部作で息をのんだ傑作でした。

2017/09/07

TVF06 松岡→池田(2017年5月29日)

 うわあ、お手紙頂いて、とんでもないことに気がついて赤面の至りです。おっしゃるとおり、年表を見ながらベスト15をピックアップしただけでその作品の価値とかあまり考えていませんでした。しかも、なによりもショックだったのは一番好きな作品である「ドクター・フー」を入れていなかったこと! 「なんでだろう?」と考えましたがどうやら年表をつくるときにイギリス作品のことを忘れていたようです。

 うわあ、どうしようかな、とうろたえましたが、よく考えたら雑誌とかではなく往復書簡ですので、単に訂正したらよいだけだと気がつきました。すみません、訂正させてください。もう一度ベスト15を評価順に選んでみます。

 1 ドクター・フー                    
 2 スターゲイトSG−1                
 3 バトルスター・ギャラクティカ           
 4 ヤングスーパーマン                
 5 LOST                         
 6 スタートレック/エンタープライズ        
 7 ユーリカ 事件です!カーター保安官 
 8 プッシング・デイジーズ
 9 フリンジ
10 スリーピー・ホロウ
11 ファイアフライ宇宙大戦争
12 ゲーム・オブ・スローンズ
13 パーソンズ・オブ・インタレスト
14 アウェイク/引き裂かれた捜査官
15 ウォーキング・デッド

 うん、確かにゼロ年代になって一番熱心に見たのが21世紀版の「ドクター・フー」だったことを思い出しました。「ドクター・フー」の面白さはかなりハードな侵略SFをドクターというユニークなキャラクターによって陰惨さを中和しているシナリオの見事さが実に素晴らしく、このストーリーにドクターがいないと「トーチウッド」になるのだなあ、という感慨深いものがあります。「トーチウッド」も素晴らしいのですがやはりハードすぎる展開に再見しようと思わないところがちょっとネックで、特に第三シーズンの「チルドレン・オブ・ザ・デイ」の最終話での冒頭のナレーションで「ドクターは人類に愛想をつかしたのだ」というセリフの悲惨さにショックを受けました。

 同様にイギリス作品の「プライミーバル」も最初の方の素晴らしい恐竜テーマSFが後半で腰砕けになっていくのがなんとも惜しいものです。

 ところで、池田さんの選出を見て「そういえば本当は大好きな作品である『スーパーガール』とか『ゴッサム』をなぜ入れなかったのだろう?」と考えたときに、「あ、そうか。『ヤングスーパーマン』を入れたときになんとなくアメコミ代表にしてしまったんだな」と気がつきました。

 そういえば、映画ではマーベルスタジオ製作のマーベル・ヒーローモノが大盛況ですが、TVシリーズにおいてはDC作品の比率がかなり大きいですね。『スーパーガール』『ゴッサム』に加えて『ARROW/アロー』『フラッシュ』『レジェンド・オブ・トゥモロー』などいずれも数シーズンに渡るヒット作となっていますが、いずれもTVシリーズの特性を生かしたつくりになっていて、ひょっとしたらDCワールド自体がTV向きなのかもしれないですね。なぜゼロ年代になってこうもDCヒーローがTVで活躍するのかまたまとめてみたいと思います。

 ところで話は変わりますが、先日友人と話をしていて「松岡さんは『100』をパイロット見てみるの止めたでしょ。あれ、後に行くほどどんどん面白くなるので見たほうがいいですよ」と助言されてしまいました。確かにパイロットを見てその設定のいい加減さとかキャラクターのとってつけた感にちょっと難を感じてそのままになってしまっていましたが、確かに第三シーズンまで続くヒット作となっていることを考えたらもう一度チェックすべきかなあ、と思ってしまいます。

 しかし、それにしても2010年代になってからSFTVの作品数が増えてきているように思えます。やっぱりどれが傑作で見るべきものなのかチェックが必要ですねえ。

TVF05 池田→松岡(2017年5月18日)

 松岡さんのベスト15を見ていてまるで年代順に選ばれているみたいで、まず2001年〜2015年の中のベスト8の上位の作品は何だろうかと考えてみました。そして下位のベスト9〜15にこれは見逃せない個性派の作品、ちょっとファンの間で語り合いたい好編と考えてみたのです。

 1.バトルスター・ギャラクティカ           
 2.ヒーローズ                     
 3.ドクター・フー                    
 4.ゲーム・オブ・スローンズ             
 5.LOST                        
 6.ウォーキング・デッド                
 7.スリーピー・ホロウ                 
 8.ゴッサム
 9.ザ・ラストシップ
10.スーパーガール  
11.4400
12.スタートレック・エンタープライズ  
13.スーパーナチュラル
14.エージェント・オブ・シールド  
15.パーソンズ・オブ・インタレスト                 
次点 ウエストワールド

 『バトルスター・ギャラクティカ』はSci-Fiチャンネルという専門チャンネルの意地を見せた作品で、元のグレン・A・ラーソンの作品世界からよくぞここまで設定を組みなおしたスタッフをほめたい。特撮の見せ方も『宇宙戦艦ヤマト2119』他、日本に大きな影響を与えています。

 『ヒーローズ』は超能力物というジャンルを人間のダークサイドを照らす切り口として、よくやった。デジタルの特撮も新しく、私はユーモアの味付けがうまいと思いました。映画の『アヴェンジャーズ』より買っています。

 『ドクター・フー』は脚本にこめたアイデアの豊かさ。デジタル特撮よりSFTVはまず脚本です。“SFTVはまだまだやれる”を確信しました。

 『ゲーム・オブ・スローンズ』はHBOの気迫と原作の力、神とドラゴンの時代が終わる歴史劇で、人間のドス黒いドラマの味が濃厚で、ファンタジーの味が時々ジャマに思えるのがSFファンには複雑な気持ちになります。

 『LOST』は一般ファンへSFの謎の引き方がアピールした点で、これは『ウォーキング・デッド』も同じでSFTVのファン層を広げました。

 『スリーピー・ホロウ』と『ゴッサム』はTVシリーズの連続物の面白さ、キャラの増やし方、キャラのレベルアップのうまさで、これからのSFTVの指針になると思わる作品。ともかく見てて、「うまい!」と何度思ったか。デジタルに頼らず、役者の演技力と演出、映像、編集にエネルギーをそそぐ、これぞTVドラマの本流だと思う。この役者陣のTVドラマをずっと追っていきたい。

 ベスト9〜15位については次回の手紙で。

2017/09/06

TVF04 松田→松岡(2017年5月7日)

 リストにちょっと手を加えて「時事」と「ヒット映画」をいれました(ブログ注:反映済)。60年代、90年代に「ベトナム戦争」「湾岸戦争」がTVドラマに影響を与えたように、「同時多発テロ」や「イラク戦争」というのがやはり必要と思われましたので。

 さて、2001年から2015年でベスト15を選べ、というお題は簡単なようで実に頭をひねりました。長く見てこなれた作品と短期だけやってそれでも心にひっかかった作品、あるいは世間的に評価の高い作品が自分にどう響いたか?など。

 そこでとりあえずゼロ年代で楽しみに毎週見ていたというあたりから選んでみました。

 1 ヤングスーパーマン            
 2 バトルスター・ギャラクティカ       
 3 プッシング・デイジーズ          
 4 フリンジ                    
 5 ザ・ラストシップ                
 6 スタートレック/エンタープライズ     
 7 LOST                     
 8 ユーリカ事件です!カーター保安官   
 9 ファイアフライ宇宙大戦争+「セレニティ」(映画)
10 スリーピー・ホロウ
11 アウェイク/引き裂かれた捜査官
12 ゲーム・オブ・スローンズ
13 パーソンズ・オブ・インタレスト
14 ウォーキング・デッド
15 アンダー・ザ・ドーム

 うーむ、なかなかこうして選出してみると自分が海外ドラマに何を求めているのかとか自分の好みが出てしまってちょっと恥ずかしいですね。名作を選ぶのではなく、自分にとってのベスト15なのでこういう結果になってしまったようです。

1「ヤングスーパーマン」はやはり “質は量によって支えられる” という典型でしょうか。なんといっても10年間ブレずに、というのがすごいです。もちろん途中でグダグダのシーズンや話もありましたが、それでも駄作の数を上回る傑作が製作されたというところと、きっちりとうまいところにおとしどころを見つけて完結したところに感動します。

2「バトルスター・ギャラクティカ」は文句のつけようのない見事な宇宙SFの一つの到達点だと思います。中でも番外編の『RAZOR』には打ちのめされました。ギャラクティカの僚船ペガサスを描いたサイドストーリーであるこの話では文民統制(シビリアン・コントロール)を離れた軍隊の本質がいかに危険なものかがじっくりと描かれていて実に衝撃的でした。

3「プッシングイデジース」はよくもまあ、ああいう「変」なファンタジーを描けたものだとそういう意味で感心しきりです。ダークファンタジーや正統派ファンタジーは普通にありますが「変」なファンタジーという意味では自分の中では法律ジャンルにおける「ピケット・フェンス」に匹敵する作品です。

4「フリンジ」も毀誉褒貶のある作品ですが、僕は大好きです。後先考えずに作っているとしか思えないのに、なぜかきちんと物語が収まっていった最終シーズンには感動さえ覚えてしまいました。

5「ザ・ラストシップ」はもう「宇宙戦艦ヤマト」愛でしょうか。昔、映画『渚にて』で恐怖を抱いていたことを思い出して第一シーズンの面白さは “破滅SFの先” を見るようで感心してしまいました。

6「スタートレック/エンタープライズ」は第四シーズンの面白さで持ち直したような気がします。「そうそう、これが見たかったんんだ!」という感じで。

7「LOST」ある意味ゼロ年代の象徴的な作品のような気がします。壮大な仕掛けとハッタリで目を引いて、しかしフラッシュバックでそれぞれのキャラクターの過去を描いて、それが終わったらフラッシュフォワード、続いてフラッシュサイドキックと手を変え、品を変えて物語を盛り上げ続けた作劇への貪欲な精神には感心してしまいます。最終シーズンでパラレルワールドという設定で二次創作を自分でやってしまったのもすごい。

8「ユーリカ」は今は無きユニバーサルチャンネルの代表作だったのではないかと思います。放映途中でチャンネルがなくなってしまったので残りのDVDボックスを買ってしまいました。藤子F不二雄的な日常SFの見事な実写だったと思います。もっと評価されるべき作品だと思います。

9「ファイアフライ/宇宙大戦争」は第一シーズン途中でのキャンセル作品なのに、残りの話を映画「セレニティ」で伏線を回収して完結させ、さらに映画がメチャクチャ面白かったというところで思わず『伝説巨神イデオン』を思い出してしまいました。

10「スリーピー・ホロウ」は基本的にお話は「スーパーナチュラル」と同じはずなのに、なぜかこちらの方が上品な感じがするのはやはり製作者のセンスでしょうかねえ。

11「アウェイク/引き裂かれた捜査官」はあまり話題にならなかったうえにミステリと思われていますが、実はインナースペースもののSFなのです。設定が交通事故で家族を失った刑事が妻が死んだ世界と息子が死んだ世界の両方を生きていて、どちらかが夢に間違いないのだけれども、どちらが夢か判らない。それぞれの世界でカウンセラーに相談したらどちらも相手が夢だという。13話でキャンセルとされていますが、どう考えても13話できっちりとお話が終わっているいるようにしか見えない見事な構成とオチに驚愕しました。

13「ゲーム・オブ・スローンズ」
 実は最近になってやっと見始めてその壮大さと物語展開に驚いているところです。あと、2, 3年たったらもっと順位が上がると思います。

14「ウォーキング・デッド」これはその逆で数年前にはかなり上位だったのですが、シーズンを重ねるごとになにかパターン化されてしまってちょっと鼻白んでいます。

15「アンダーザドーム」はこれまた小説を越えた展開のあたりからぐんぐん面白くなって後半の展開には仰天しました。
 と、いうわけでゼロ年代以後のベスト15ですが、いかがなものでしょうか?

TVF03 池田→松岡(2017年4月11日)

 リスト作成お疲れ様です。いやー、いっぱいあったんだというのが最初の感想です。忘れていた作品もありました。でも、これは1983年〜2003年のこの前の20年間のベスト15も来年やらんといかんなとも思いました。近すぎて整理していない感じです。

 まず、2004年に「LOST」「バトルスター・ギャラクティカ」「4400」「スターゲイト:アトランティス」が同じ年なのかというのに自分の記憶を確めたくなりました。この4本、けっこうそれぞれインパクトあったからねえ。

 2005年の「スーパーナチュラル」「スレッシュホールド」もTVシリーズ向けのアイデアで自分的には得点が高いという感じで、宇宙物の「スタートレック/エンタープライズ」が終わる2005年からいろいろなアイデア、ホラー作品の模索が始まっていく感じで、こうやって作品リストを眺めるだけでマッピングの一歩が始まる・・・と松岡さんがいつも言っている年表、リスト作りは大事なんだと痛感しました。

 今回は順位をはっきりつけたベスト15にしてみようか(ベスト10ではもったいない作品ばかりです)と考えています。次回で理由も含めてベスト15の候補をたててみたいと思います。

2017/09/05

TVF02 SF番組2001-2015暫定リスト3(2011-15)

2011
 イスラム諸国で「アラブの春」革命相次ぐ
 米軍がウサマ・ビン・ラディン殺害
 北朝鮮キム・ジョンイル総主席死去
タッチ(2011)              
アメリカン・ホラー・ストーリー(11-)    
GRIM/グリム(11-)
ゲーム・オブ・スローンズ(11-)
ティーン・ウルフ(11-)
ブラック・ミラー(11-)
ワンス・アポン・ア・タイム(11-)
パーソンズ・オブ・インタレスト(11-16)
ザ・ケイブ(2011)
ビーイング・ヒューマン(11-14)
テラ・ノバ(2011)
フォーリング・スカイズ(11-15)
アルファズ(11-12)

2012                
 アフリカと中東で米国領事館襲撃事件
 「アヴェンジャーズ」公開
シークレット・サークル(12-13)      
ARROW/アロー(12-)
コンティニアム:CPS捜査班(12-15)
美女と野獣(12-16)
ラストリゾート(12-13)
アウェイク/引き裂かれた捜査官(2012)
ザ・リバー(2012)
アルカトラズ(2012)
666パークアベニュー(2012)
PRIMIVAL: NEW WORLD (12-13)
レボリューション/REVOLUTION (12-14)

2013                    
 ボストン・マラソン爆弾テロ事件
エージェント・オブ・シールド(13-)
オリジナルズ(13-)
オーファン・ブラック(13-)
スリーピー・ホロウ(13-)
ヘムロック・グローブ(13-15)
ゼロ・アワー/ZERO HOUR (2013)
TOMORROW PEOPLE (13-14)
イーストエンドの魔女たち(13-14)
アンダー・ザ・ドーム(13-15)
ALMOST HUMAN (13-14)

2014           
 イスラム国が国家樹立を宣言し、全世界でテロ活動開始
アウトランダー(14-)
ストレイン沈黙のエクリプス(14-17)
フロム・ダスク・ティル・ドーン(14-)
ペニー・ドレッドフル ナイトメア 血塗られた秘密(14-17)
THE FLASH/フラッシュ(14-)
ザ・ラストシップ(14-)
The 100 /ハンドレッド(14-)
フォーエバー/DR.モーガンのNY事件簿(14-15)
BELIEVE/ビリーブ(2014)
エクスタント(14-16)
インテリジェンス(2014)
HELIX (14-15)
ゴッサム(14-)
レフトオーバー(14-)
Zネイション(14-)

2015
ウェイワード・パインズ出口のない街(15-)
キルジョイ/銀河の賞金ハンター(15-)
死霊のはらわたリターンズ(15-)
SUPER GIRL/スーパーガール(15-)
センス8(2015)
フィアー・ザ・ウォーキングデッド(15-)
ミスターロボット(15-)
12モンキーズ(15-)
エージェント・カーター(15-16)
ヒーローズ・リボーン(15-16)
暴走地帯ZOO(15-)
WHISPERS見えない訪問者(2015)

TVF02 SF番組2001-2015暫定リスト2(2006-10)

2006 
 サダム・フセイン元イラク大統領死刑
カイルXY (06-09)
ユーリカ事件です!カーター保安官(06-12)
THE GATE (2006)
デイブレイク(2006)
HEROESヒーローズ(06-10)
ジェリコ(06-08)

2007
 サブプライムローン問題発覚
 アル・ゴアがノーベル平和賞受賞
THE IMMORTAL (2007)            
フラッシュゴードン(07-08)
ジャーニーマン(2007)
ドレスデン・ファイル(2007)
チャック(07-12)
ブラッドタイズ(2007)
バイオニック・ウーマン(2007)
デビルバスターズ(07-09)
プッシングデイジーズ(07-09)

2008 
 リーマン・ショック
 映画「ダークナイト」ヒット
フリンジ(08-13)                 
サンクチュアリ(08-11)
レジェンドオブシーカー(08-10)
トゥルー・ブラッド(08-14)
魔術師マーリン(08-12)
ターミネーター:サラ・コナークロニクル(08-09)
ニューヨーク1973/LIFE ON MARS (2008)

2009                        
 オバマ大統領就任
ドールハウス(09-10)
イーストウィック(2009)
フラッシュ・フォワード(09-10)
V (2009)
スターゲイト:ユニバース(09-11)
リスナー(09-14)
ウェアハウス13(09-14)
ヴァンパイア・ダイアリーズ(09-)
イレンブンス・アワー(2009)
プライミーバル(09-11)

2010                        
 「アバター」公開
 メキシコ湾原油流出事件
ヘイブン(10-15)                    
ウォーキングデッド(2010-)
カプリカ(10-11)
NO ORDINARY FAMILY (10-11)
ザ・イベント(10-11)
ロスト・ガール(10-15)

TVF02 SF番組2001-2015暫定リスト1(2001-05)

2001 
 米同時多発テロ発生
エイリアス(01-06)                     
ヤングスーパーマン(01-11)
スタートレック/エンタープライズ(01-05)

2002 
 映画「スパイダーマン」大ヒット
ファイアフライ(02)
新トワイライトゾーン(02)
デッドゾーン(02-07)
ゴッサムシティ・エンジェル(02)
オデッセイ5(02)

2003 
 米英軍によるイラク自由作戦によりイラク戦争勃発

2004
 スマトラ島沖地震
4400(04-07)
スターゲイト:アトランティス(04-09)
LOST(04-10)
バトルスター・ギャラクティカ(04-09)

2005
 ロンドン同時爆破事件
 フロリダにハリケーン「カトリーヌ」が上陸
ミディアム(05-11)              
ゴースト・ウィスパー(05-10)
スーパーナチュラル(05-)
ドクター・フー(05-)
ペインキラー・ジェーン(05-07)
インベイジョン(05)
SURFACE (05)
スレッシュホールド(05)
ナイトストーカー(05)

TVF02 池田→松岡(2017年3月25日)

 最初の課題の「2001年からのSFTV」ですが、けっこう頑張ってリストを作りました。とりあえずタイトルと放映年だけですが、このあとそれぞれの作品についての簡単な解説をつける予定であります。これを叩き台にしてベスト15を選出してはどうか?と考えております。実はやっぱり年表って必要だな、と感じたことがありました。

 実は今は廃刊となったアメリカ版「STARLOG」をチェックして色々と記事を調べなおしているのですが、やっぱり製作者による長文のインタビューは今になって見直したらなるほどと思うところや当時は気がつかなかったことがよくありました。

 例えば『素晴らしき日々』や『ドーソンズ・クリーク』のジョン・ハーモン・フェルドマンが2003年にタイムトラベルSFの『トゥルー・コーリング』を製作していますが、この人『ロズウェル』の第一シーズンの脚本とかも書いているのでSFも好きなのかな、と思ってインタビュー記事を読んだらどうやら『トゥルー・コーリング』の発想の元は1998年のドイツ映画『ラン・ローラ・ラン』らしいのです。恋人の窮状を救うために20分で10万マルクの金を得ようとベルリンの街を疾走するローラの姿(途中でアニメになるバージョンもあったような気がする)は確かに『トゥルー・コーリング』のパイロットでニューヨークを疾走するトゥルー(エリザ・ダシュク)を彷彿とさせます。(もっとも、エリザ・ダシュクの方がグラマーでしたが)

 この映画は3パートで構成されていてローラの金集めの試みが成功しないバージョンをやったあとでもう一つの可能性として再度同じシチュエーションからスタートするというものでした。ただし、記憶は引き継がれないのでリプレイではない。つまり巻き戻しというよりも運命の再挑戦という描写でした。要するに『トゥルー・コーリング』というのはタイムトラベルではなく、この映画の“二度目の挑戦”の部分を膨らませたものだったのです。
 いや、それが判ったからどうということはないのですけれども、この作品で優先されるのはSF的整合性ではなく、ヒロインの疾走だということが判ったらなんとなく作品の注目点もまた変わってくるような気がしました。

 しかし、2003年当時の「STARLOG」を読んでみたらけっこう宇宙SFが放映しているではないですか。宇宙SFというのは90年代がピークだったような印象だったのですけれども、ゼロ年代前半にも結構傑作揃い(いや、むしろこの時期の方が名作が多い)だったのだなと思ってしまいます。

(リストは次の記事から)

TVF01 池田→松岡(2017年3月6日)

 2017年日本SF大会のTVファンタスティックの企画ですが、2001〜2016年のSFベスト15というテーマでどうでしょうか?

 「新スタートレック」「DS9」「VOY」3部作の後のSFTVの流れが見えてくると思えるのです。話やすい気もする。そこで2000年からのタイトルリストを作って送っていただけませんか?

 そんな感じでどうでしょう?

2017/09/04

TVF00 TVファンタスティック2017(管理人より)

<TVファンタスティック>とは、松岡秀治さんという海外TVドラマ研究家が、池田憲章さんと海外SFTVドラマについて語る企画です。毎年開催される日本SF大会で恒例の自主企画となっています。今年も、第58回日本SF大会ドンブラコンLL(2017年8月26, 27日)

http://www.donbura.com/sf56/ja/

に登場しました。企画の時間は90分、参加者は50人を越えました。

 SF大会プログラムで以下のように紹介されています。
ーーーー
 海外SFTVドラマ研究企画TVファンタスティック、
今回のテーマは「00年から15年までのベスト15作品を考える」です。
21世紀に入って数々のSFTVが放映されましたが、評価されない隠れた名作も多数。
池田憲章さんと共に「これを見よう!」という作品を分析紹介したいと思います。

出演者:松岡秀治(海外ドラマ研究家)、池田憲章(特撮研究家 TVドラマ研究家)
ーーーー
http://www.donbura.com/sf56/ja/program/open/sf56_5028.html


 さて、これまでこのブログで公開してきた95回のメモランダムは、諸般の事情により資料無しの状態で、一日3編くらいずつ書きためておられた記事です。少しでも多くの方の読んで戴きたいということで、この企画で無料配付されました。このブログの方は、3回分くらいずつ段々アップしていく予定だったのですが、印刷部数が足りず「受け取れなかった方はブログで読んで下さい」という話になり、予定を繰り上げて最後まで公開した次第です。

 企画に際しては、これとは別に「00年から15年までのベスト15作品を考える」に関する本来の資料として、3月〜8月の打ち合わせ往復書簡も配付されていました。主催の松岡さんのご依頼で、これを分割した記事をこれから順次公開します。長短ありますが、日付毎に分けてTVF01,TVF02、と番号をつけました。長いリストがある場合はさらに分割しています。